How to grow?

苔って、なあに?

terrariumは狭く限られた環境ですので、育成する植物には向き不向きがあります。そんな中に閉じ込めるなんてかわいそう…なんて、そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところが、広い世の中こんな場所が大好きな植物もいるもんで、コケ類の多くはテラリウムでも元気に過ごせちゃうようです。

苔…あんまりパッとしないイメージですが、近くでよく見てみてください。独特の深みがある緑色もさることながら、姿かたちもとってっもかわいらしいんです、実は。


 苔のふしぎについて

ご存じのとおり、植物は通常、根から養分、水分を吸収しますが、コケの仲間は基本的に根がありません。茎の下のほうや表面に根に似たもの(仮根と呼ばれる)がありますが、主に体を支える器官のようです。茎のような部位を持つコケも多くありますが水分や栄養分の通路(維管束)もありません。必要不可欠な水分は体の表面から取り込んでいます。

茎が丈夫な造りではないことからこじんまりしていることや、土から余分を得ないこと、湿度の高い場所を好むことなどの特徴を考えると、瓶の中は苔にとって最適な環境だったりします。


 育つ環境について

日陰のジメジメしたところにあるイメージが強いコケですが、直射日光の当たるような明るい場所を好んだりする種類もいます。但し、前述のように体の表面から水分を取り込んでいますので、高い湿度は必要です。

~基本的な育て方~

テラリウムでは、乾燥しないように注意し、割と明るいところに置いてあげると喜ぶでしょう。但し、苔たちが利用する水分の多くは空気中のものなので、お水はあげすぎないでください。養分は光合成で作るので、肥料もあげないで上げてください。あげるとむしろ雑菌に負けちゃう原因となることもあります…

苔の種類により個体差はありますが、基本的には下記の注意点を意識して育ててください。

  • 直射日光の当たらない、明るい場所に置くこと
  • 瓶の中が乾燥しないように、適度な水分を維持すること(瓶の底に水が若干たまっている程度)
  • テラリウムが置いてある環境の温度が高い場合は、蒸れに気を付けること

 

 


アラハシラガゴケ  (Leucobryum bowringii Mitt)

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マンシュウゴケ、山苔の別名を持ちます。毛足が短く、こんもりと丸い群落を作ります。

反日蔭地の、湿度の高い杉、ヒノキ林の根本等を好むようです。水やりの際は直接苔にかけないようにし、周りに与えるようにしてください。

蒸れは苦手で、変色を起こすこともあるようですので夏は特に気を付けましょう。


 

ハイゴケ  (Hypnum plumaeforme Wilson

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開けた草原、山道のヘリ等日当たりの良い場所でも、十分な湿度があればよく育ちます。都心を離れると比較的よく見られる、わりに身近な苔です。

日当たりは強すぎず、弱すぎるということがなければ、高い湿度さえあればよく育ちます。明るめの室内等でOKです。湿潤な環境にしてやることを意識してください。


スギゴケ  (Polytrichum juniperinum

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明るい日陰地の湿った土地等に群生します。茎は枝分かれせず1本で、つんつんした葉が特徴的ですが、乾燥に強く、乾いてくると葉は茎にくっつくようになります。水はやりすぎなくても大丈夫。


ヒノキゴケ  (Pyrrhobryum dozyanum)

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割に大型の苔で、別名であるイタチノシッポの名の通り、動物の尾のようにふさふさした葉が特徴的。

山地の日陰から反日蔭の森の中に群落を作ります。耐寒性の強いコケが多い中、このコケは比較的暖かい地域を好む傾向があるようです。

環境の変化にはやや敏感なようです。


エゾスナゴケ (Racomitrium japonicum

 

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葉は淡緑色で、明るい印象。日当たりのよい砂地を好みます。

明るい反日蔭で、適度な湿度があればよく育ちます。炎天下でも枯れない強さがありますが、その際葉が乾いて閉じているときは直接水を上げないようにしてください。